電脳けん玉職人

らくがき

巌谷國士『シュルレアリスムなとは何か』

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面白い本だった。主観が増大するのでなく、客体が膨張・変容する様を描くのがシュルレアリスムだという説明や、「自己」が消えるメルヘンとシュルレアリスムの近似性、および(時間の都合上詳述はできなかったと思われる)ユートピアの性質など、興味深いトピックが沢山あった。

そんな簡単に自己を消せると思うなよという批判はもちろん有効だし、むしろ社会学を学ぶ人間はたぶん真っ先にポジショナリティやMan-Historyなどについて思い浮かべるだろうけど、一つの主張として面白かった。

あと僕はウィキペディアンなので、「自己を消す」ってまんまWikipediaやん!と嬉しくなっていた。Wikipediaシュルレアリスムの賜物なのね(たぶん違う)。

また、「主観」をあまり信用していないからこそWikipediaを選んだ自分の性格についても思いを馳せた。

 

2020年2月1日読了