電脳けん玉職人

らくがき

川上弘美『このあたりの人たち』

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ある街を舞台とした短編集。非現実的な現実たちが、「薬局でティッシュ買ってきた」くらいのテンションで語られる。そして、それら低体温の語りたちが集積すると、なぜかぼんやりとした暖かさを生む。語りたちが基盤とするコミュニティの力がもたらした暖かさなのだと言われればそうなのかもしれないけど、なんとなくその結論を採用するのは躊躇われてしまう。それはコミュニティを矛盾含みで描いた作者を馬鹿にするように感じてしまうから。

 

好みはともかく、凄い作品だと思う。

 

2020年1月20日読了