電脳けん玉職人

らくがき

2019-01-01から1年間の記事一覧

マリス・ヤンソンスのブルックナー9番

「映画の日」にかこつけてユーロスペースでも行くかと思いたち、渋谷に赴いた矢先に指揮者マリス・ヤンソンスの訃報を知った。 正直なところ、マリス・ヤンソンスの演奏はあまり好きではない。その美点でもあるクールさが、個人的には「不完全燃焼」と思えて…

タムシン・スパーゴ(吉村育子訳)『フーコーとクイア理論』

(理解できてないところもあるので、適切なまとめではないかもしれませんがご容赦を……) フーコーの構築主義と抑圧仮説批判をおさらいして、その視点からフェミニズムおよびセクシュアルマイノリティ運動、さらにクィア運動を振り返り、その後バトラーやキャ…

COCO Birthday Live

有楽町の蛙シャンソニエにて行われた、五十嵐志保美さんのバースデーライブに行った。 五十嵐さんの歌はとても素敵で、低い音域から高い音域へうつる際の伸びやかさが魅力的だった。 曲目はシャンソンからカンツォーネからミュージカルまで幅広かったけど、…

西川美和『きのうの神さま』

5つの物語からなる短編集。 ●「1983年のほたる」 「思ってたのと違う人だった」……この世の悲劇の主な原因を示す、端的な文章だ。 事故を起こしたバスの運転手は、逃げるかと思いきや助けを連れて戻ってきた。秀麗な匂坂さんは思いのほかぼやっとしていた。…

読売交響楽団 第593回定期演奏会

友人に誘ってもらい、久々に読響の演奏会へ。 場所はサントリーホール、指揮はトマーシュ・ネトピルで、チェロ独奏はジャン=ギアン・ケラス。曲は以下の通り。 モーツァルト《「皇帝ティートの慈悲」序曲》 リゲティ《無伴奏チェロ・ソナタ》 リゲティ《チ…

岡上淑子『美しき瞬間』

素晴らしい画集であり、素晴らしい詩集であり、素晴らしいインタビューであると思う。 混沌とした世の中において、混沌としたコラージュはなぜか安らぎをもたらす。僕は『白い花束』を観て、家に帰ってきたような気持ちになった。それは画面左手に広がる美し…